Submits.life - Submits.lifeは、4人くらいの知的学習支援システム研究者でお送りする研究と雑談のポッドキャストです。

3. 知的エージェントとITSはどこから来たのか エージェントは何者か エージェントはどこへ行くのか

2021年04月17日

概要

abura、koike、aikawa、mogiの4人でITSと知的エージェントシステムの結び付けに関するレビュー論文を題材に、ITSの全体像について語りました。

話者

abura
abura
koike
koike
aikawa
aikawa
mogi
mogi

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  • An agent-based intelligent tutoring systems review
  • ITSの基本的構成要素… 領域(ドメイン)知識・学習者モデル・教授戦略。
  • (ソフトウェア)エージェント… Wikipediaの説明は信頼できる論文を元に結構まとまった解説がなされている。
  • 知識表現(Knowledge Representation)… コンピュータが計算(推論)するために与える意味・概念の表現や方法のこと。典型的な表現形式として、ルールモデルや意味ネットワークモデル、フレームモデルなどがある。オントロジー工学的アプローチはフレームモデルに従った概念
  • 会話エージェントと学習支援についての解説… 教育システム情報学会という学会で発刊された解説。会話エージェントと学習支援について詳しい。途中で出てきたEmbodied Conversational Agentsなども説明されている。なお、筆頭著者はaburaの兄弟子。
  • プロダクションシステム… プロダクションルール、データベース(ワーキングメモリ)、インタプリタの3つの基本要素からなる人工知能プログラム技法の一種。会話中は若干不適当な説明だったので、厳密な議論は調べてくださいw。
  • 学習管理システム(LMS:Learning Management System)… 大学の授業支援システムなど、学習者情報や授業情報などをオンラインで管理するシステムの総称。
  • MOOC(Massive Open Online Course)… オンラインで公開されている講義コンテンツのこと。代表的なプラットフォームとしてedXなどがある。
  • Kurt Alen VanLehn… 2021年現在、アリゾナ州立大学で教鞭をとられているITS研究の大御所のお一人。ITSの一般的な振る舞い(Outer loop/Inner loop)の発見や、Why2000Why2-Atlasなどの開発者。配偶者は自己説明研究やICAP理論で有名なM.H.Chi先生。
  • Arthur C. Graesser… メンフィス大学の認知科学・学習科学、および人工知能研究者。代表的な発明に、「問い」のタイプを概念化したGraesser’s Taxonomyや、自然言語で会話しながら学習をサポートするITSであるAutoTutorなどがある。
  • John Robert Anderson… CMUの認知科学、人工知能研究の大家。代表的な発明に、認知アーキテクチャの一種であるACT-Rや、様々なITSの基盤となるフレームワークとなっているCTAT:Cognitive Tutor Authoring Toolsなどがある。
  • Antonija Mitrović… Tanja(ターニャ)先生との愛称で知られる、ニュージーランドはカンタベリー大学のITS研究者。世界中の大学などで実際に利用されているSQLの学びを支援するITSであるSQL-Tutorや、リレーショナルデータベースのER図を教えるERR-Tutor、制約(Constraint)ベースチューターのためのオーサリング(教材開発支援)システムであるASPIREなどの重要なITSや概念の開発者。
  • IAIED(International AIED Society)… この分野の最難関カンファレンスの一つ、AIED(Artificial Intelligence in Education)を運営する組織。Tanja先生がPresidentだったのは2013-2015だったみたいです。だいぶ昔でしたね。なお、現在はTanja先生はAPSCEという別のカンファレンスを主催する組織のPresidentでした。そちらと勘違いしたようです。
  • Kenneth R. Koedinger… CMUのLearningLabに所属するHCI・心理学の研究者。ACT-Rに基づくITSであるCognitive Tutorを始めとした様々なITSの開発に貢献した重要人物。
  • PLATO… 最初期のCAI(Computer-Assisted/Aided Instruction、ITSの前身のパラダイム)とされるシステム。1960年ごろのシステムということなので、分野としては60年くらいであるようです。

Editorial notes

  • Podcastで初めてちゃんと研究の話ができた。普段の輪読会とは少し違った雰囲気で楽しい。(abura)
  • まだまだ紹介できてない重要人物が沢山います(koike)
  • もっと何か喋れるように頑張ります(aikawa)
  • 人の名前が全然覚えられないです(mogi)